子平　四柱推命　勘違い　素人占師

３１．勘違い

　先月のことになってしまいましたが、推命を学ぶ上で参考とすべき事件が起こりました。新聞やマスコミで連日大きく報道されましたので読者の方もまだ記憶が新しいと思いますが、大王製紙の元会長が逮捕されたというものです。創業者の孫であり、３３歳で大王製紙の副社長、４２歳で社長となり、一時は若き実業家ということでもてはやされましたが、世に言う三代目の宿命を背負っており、命式通り見事に演じてくれました。

　「親苦労する、その子楽する、孫乞食する」という言葉があります。大王製紙は創業家の意向が強いとは言え、一応株式会社ですので潰れもせず本人も乞食までは堕ちませんが、三代目のボンボンがその家の名声を失墜せしめる、という意味ではその通りとなりました。　　元会長の命式は既に他のサイトでも取り上げられているかもしれませんが、今回は「勘違い」と題してこの命を取り上げてみましょう。

　１９６４年7月２８日生まれ（生時不詳）　男命
　　　日　月　年
　　　戊　辛　甲
　　　寅　未　辰

　　　現在
　　　↓
　　　丙乙甲癸壬
　　　子亥戌酉申

　この命式から分かることをいくつか列挙しましょう。

（１）祖父母は裕福でなかったが力を合わせてよく働き、それが実ったこと。
（２）祖母は祖父を良く支え、時には祖父の進む方向も示したであろうこと。また祖父の働きをしっかりと受け止め、
　　妻として満たされていたこと。
（３）親はその余慶を受けたこと、余慶を受けつつも祖父母の代より社会的に上位に立ったこと。
（４）祖父母も自分の子供（本命の親）に対して「立派になった、よくやってくれる、偉い」等々満足していたこと。
（５）本命は生まれながらにして先先代、先代の財力に満たされていること。
（６）賭け事（博打）が好きな事、好きだが博才はないこと。
（７）親の代まで積み上げてきた実績と自分の置かれている環境を自分の才能の故であると勘違いすること。
（８）法や規則・規律（とその執行機関）などは意に介せず、遵守する気持ちはないこと。
（９）祖業を破ること。
（１０）親の狂育

　他にもいろいろありますが細かなことは省き、今回の事件、逮捕のきっかけとなった博打について観てみると、もともとつまり生まれながらにして賭け事が好きであることと賭けた金は他人にものになってしまう（つまり勝負には負ける）ことは命式から明らかです。また働いてもお金を大事にする、庶民のようにコツコツと貯めるなどという気持ちはありません。お金に塗れて育ったので当然と言えば当然でしょうが、同じような環境で育っても真っ当な倫理観をもった方もいる中、今回の場合はそのようには育たなかったということが命式にも表れています。
　その他、余分なことですが長男または後継ぎとして生まれている命式でもありますね。そして持って生まれた性癖として博打好きのところへ、昨年あたりから良からぬことを考え始めます。昨年庚寅、本年辛卯ですから、理性や自制心を持たない人間にとっては運命どおりのことがやってきます。

　この○○家の場合は、一言で言えば短期間で成功を収めたために人としてのあり方、家庭、教育の在り方を間違えたということでしょう。所謂「成りあがり」故の慢心によるもので「なりあがり」の悲しさ、愚かさが出てしまったということです。　「なりあがり」の存在そのものは世を活性化し新陳代謝を活発にする意味で大いに結構なのですが、事業が発展し継続できるのは神に与えられた運命の御蔭であり社会における使命を自覚しそれを果たすべく生きるのが当然なのですが、事業発展も社会や社員など多くの人々の御蔭であるということを忘れ、人間としてのあるべき姿、歩むべき道を間違えて「自分は偉い、自分には優れた能力、実力がある」と「勘違い」してしまったということです。

　今回の事件は、親が子供を育てる際の考え方を二代続けて誤ったことにより起ったものであることを命式が示している例です。推命を学ぶ上ではよき例ですので、上に記載した点も併せじっくり命式を眺めましょう。

　（補記）

　占師やそれらを取り巻く人たちの中では「勘違い」をしているものが一般社会より多いようです。既に何回か書いていますが、開運と称した吉方位への旅行や石ころ・墓の販売、前世療法、ヒーリング等、詐欺行為が横行しています。人の運命はそんなもので変わるほど簡単なものではありません。

　占師がプロデュースし「紅白歌合戦の常連になれる」という今年最高の運をもったグループがあるようです　そろそろ大晦日も近づいてきましたが、この「アイドルデュエット」の名前はありませんしテレビなどでも見かけません。おかしいですね。今年最高の運をもっている上、推命が得意だったり、奇門遁甲を得意とする占師がサポートしているようですが一体どうしたことでしょう。活動は７月から始めたようですがＣＤデビューが１１月２日なので紅白には間に遇わなかったのかな？　それともまだ得意の奇門遁甲を使った吉方位を使用していないのかな？・・・といろいろ疑問も湧くので、二人の命式をみてみました。

　結果は「・・これが最高の運の持ち主？」という思いでした。この命式で「紅白の常連となるアイドル」は、はっきり言って無理です。どこをどう見たらそういう判断になるのか。○を使えば刹那的には表舞台に出られなくはないと思いますが、この推命は紛い物です。「先生」がプロデュースということで期待して待っている取り巻き連中もいるようですがそのうち結果が示されるでしょう。
　
　詳細は省きますが結論を言えば一人はほとんどダメ、一人はまあまあまあという組み合わせですね。これも鑑定力がないのに自分は一流と「勘違い」した結果と言えます。芸能界のことなどどうでもいいのですが、推命を騙ったからには、今後ご自分の「宣言」をきちんと実行されることを期待します。

（2011年12月17日）